ポスター発表について
先日、ある研究会でポスター発表を聞いてベストポスターを3つ選ぶという大役を仰せつかった。これまでは興味のあるものからじっくり聞いて回り、時間が来たら残りは縁がなかったものとしていた。しかし、評価するとなるとこうはいかない。限られた時間で全てのポスターを見てまわる必要がある。そして、そのポスターで発表者が伝えたいことを短時間に読み取らなければならない。これにはなかなか苦労した。
この経験から、こんなポスターならわかりやすいな、と思ったことをここに書いておきたい。
アブストラクトを書こう
はじめに概要があるとわかりやすい。研究の背景、動機、何をどう解決するか、どういう結果が出たのか等がまとめて書いてあると、聴衆は何に着目して話を聞けばいいのかわかる。また、発表者の伝えたいことも聴衆の頭に残りやすい。概要で興味を持ってもらえれば残りも聞いてもらえるかもしれない。
逆に概要がないと、最後までポスターを見ないと何を言いたいのかわからない。途中で話を遮って、何が言いたいの?と聞きたくなってしまう。発表者が不在の時は、聴衆が最後まで読んだ上で自分で話を整理しないといけない。しかしそれでは発表者が伝えたいことが正確に伝わるとは限らない。
サマリーを書こう
研究の結果わかったことを簡潔にまとめておくと、その研究の何が新しくて何が面白いのかが伝わりやすい。ここだけは覚えて帰ってね、というお持ち帰りメッセージを聴衆に提供する。個人的には箇条書きだとわかりやすい。アブストラクトと違い、背景などは書かなくてよい。
研究会の間ずっとポスターを掲示しておくタイプの会議だった場合、コーヒーブレイクの間にポスターを見る人がいるかもしれない。短いサマリーがあれば、そういう人たちにも研究が伝わりやすいし、興味を持ってもらえれば後で質問してもらえるかもしれない。
読む順番を書こう
A0の縦長のポスターを使う場合、例えば3行2列に区切って書いてある場合がある。その場合は、どの順に読むのか番号を書いておくとわかりやすい。たまに縦に読んでいくのか横に読んでいくのかわからないポスターがある。論理が通らなくておかしいなと思っていると読む順番が違うことに気づく、そんなポスターである。順番が書いてあればその問題は生じない。